大阪の金属加工業者が教えるレーザ切断の豆知識
こんにちは。Iron Chef’Sです。
今回、アイアンシェフズ初の試みとして、コラムを執筆することになりました。
月に1回、このような形でボリュームのある弊社の加工技術などをお伝えしていければと思っております。
第一弾は『大阪の金属加工業者が教えるレーザ切断の豆知識』ということで、レーザとはなんぞや?といった点を
分かりやすくお伝えしていこうと思います!
目次
- レーザ切断について 基本の部分を解説いたします。
- ファイバレーザとは?
- CO2レーザとは?
- ファイバレーザとCO2レーザとの比較
- 二次元レーザ加工とは?
- 三次元レーザ加工とは?
- まとめ
レーザ切断について
レーザ切断とは、レーザ光を照射して鉄や非鉄金属などの素材を切断する加工方法です。
レーザ切断には様々な種類のレーザーが使われますが、ここでは代表的な以下2種類のレーザについて紹介します。
・ファイバーレーザ
・CO2レーザ
ファイバーレーザとは?
光ファイバーを媒質として光を増幅することで、特定の波長で高出力を得ることができるレーザです。
ファイバレーザの特徴は以下の通りです。
高効率
ファイバーレーザは微細で長いファイバー内に光を閉じ込めて発振させるため、高いエネルギー変換効率、高いビーム品質(集光性)が得られます。
高出力
小型で大きな表面積を持つため、冷却も容易で高出力化が可能です。
高メンテナンス性
全て光ファイバーで構成されるため、構造が簡潔で微塵の影響を受けにくく、光軸のずれなども起こりにくい高いメンテナンス性も持ち合わせています。
切断速度
CO2レーザ加工機の約3倍の速さ
加工性能
高反射材の加工に優れている(真鍮・銅など)
CO2レーザーとは?
CO2(炭酸ガス)を媒質として光を増幅させる気体レーザです。
CO2レーザの特徴は以下の通りです。
対応できる素材が幅広い
CO2レーザは非常に長い波長のレーザを発振することができます。そのため、金属や木材などの加工だけでなく、他のレーザでは加工が困難であるガラス・アクリルなどの透明な素材も加工することが可能です。
購入時の価格が比較的安価
CO2レーザは気体レーザの中では例外的にエネルギー効率が良いレーザとされており、現在利用されている産業用レーザの中で最も多く使われるレーザです。そのため、購入時の価格も他のレーザよりも安くなっています
ファイバレーザとCO2レーザとの比較
特長 | ファイバーレーザ | 優劣 | CO2レーザ |
①高発振効率 | 30% | > | 10% |
②高集光性(波長1/10) | 10μm | > | 100μm |
③加工性能 | |||
・薄板切断速度(t3.2 以下) | 速い | > | 遅い |
・中厚板切断速度(t6 以上) | 遅い | < | 速い |
・加工品質 | 面品質が悪い | < | 面品質が良い |
二次元レーザ加工とは?
レーザ光を動かす方向がX・Y方向に動かすことができます。
そしてレーザ光を照射して平面的な形状に切断する加工方法です。
鉄や非鉄金属などの素材に対応でき、高速・高精度・高品質な加工が可能です。
二次元レーザ加工には、以下のようなメリットがあります
刃型や治具が不要
レーザ光は非接触で加工するため、刃型や治具が不要です。そのため、加工形状の変更や小ロット生産にも柔軟に対応できます。
加工範囲が広い
レーザ光は直線や曲線など、自由な形状に切断できます。また、厚さや硬さにも影響されにくく、薄板から厚板まで幅広い板厚に対応できます。
最近では、加工テーブルの多段式が採用されていて、量産品は打ってつけです。
加工品質が高い
レーザ光は熱影響が少なく、切断面が滑らかでバリが少ないです。また、狭い幅や小さな穴などの精密な加工もできます。
三次元レーザ加工とは?
レーザ光を3次元的に動かして、曲面や立体などの複雑な形状の材料を切断する加工方法です。
レーザ光は、レーザ発振器から出力された後、光ファイバーやミラーなどを通して、レーザヘッドに送られます。
レーザヘッドは、ロボットアームやXYZ軸などの機構によって、自由に動かすことができます。
3次元レーザ切断のメリットは、以下のようなものがあります。
高精度
レーザ光は、非常に細い光線であるため、細かい部分や複雑な形状の切断も可能です。また、レーザ光は、接触しないで切断できるため、材料に歪みや傷がつきにくいです。
高効率
レーザ光は、必要な部分にだけ照射できるため、材料の無駄が少なくなります。また、レーザ光は、熱による影響が少ないため、材料の性質や品質が変わりにくいです。
複雑形状の加工
3次元レーザにより複雑な加工も可能となります。
例えば、板材を斜めに切断出来たり、箱形状のモノにも加工できたりします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
レーザ切断について少しは理解できましたか?